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いらだち Date:2003/09/23(Tue)
手を伸ばして彼の首に絡ませ、顔を寄せる。
前のめりになるよう少ない体重をありったけ乗せてやる。抱きついてやる。
そんなことでこの男がバランスを崩すなんて事は勿論ないけれど、
ただ突然のことに普段冷静な声がいつもより上ずっているのがなんとなく面白かった。
「あ……創造主?」
「黙ってろ」
「……」
忠実なホムンクルスは、命令どおりそれ以上何も言わない。
かわりに自分よりはるかに軽い体重をしっかと受け止め、背中に躊躇いがちだが長い腕を回してくる。
鋼鉄のような力強いそれが、自分を傷つけないよう細心の注意を払って力加減されているのだと気づいたときは
嬉しくもあり、悔しくもあり。
鈍く光る金髪を軽く梳きながら、漂う彼の匂いにとろりと目を瞑る。
完全に己を鷲尾に委ねる。
蝶野ははっきりと自覚してしまった。
俺は、この男に甘えている。
考えただけで情けなさすぎて、涙が出そうだった。
(そんなもの持ってないけれど)
鷲尾さんはくすんだ金髪が似合うのではないか と ……