いつかのために。
ラッキーマン
今すぐ全部をぽーんと投げ出してさぁ。
この青くて青くて憎たらしい空に、逃げてしまえたらいいねぇ。
がんじがらめになっちゃってる俺たちの心臓に、いまこそネジをまくべきなのさ。
ねぇ、そうだろう?
世間一般でいう「ふつう」に暮らしたことはないけど、きっと大丈夫。
よのなかの仕組みはしってるし、俺様けっこう器用なの。
あんがい我慢強いから、毎日帰ってくるあんたを待ったりできるよ。
そいでさ、一日に一回かならずぎゅうと抱きあって頬をよせて。
太陽のにおいと一緒に生きよう。
きっとできるよ。
二人一緒ならなんだってできるよ。
常に愛の言葉をささやくのは恥ずかしいなら、ずぅっと隣にいてね。
それだけで十分だから。
風見鶏みたいに、自由きままに色んなものを見るのもいいかもね。
あたたかな冬なんか知らないでしょう?
ちいちゃな畑をたがやしてもいいかもね。
寺子屋なんかもいいなぁ。
人の殺しかたじゃなくて、人の愛しかたを教えてあげるのさ。
食事処なんてのもどうかな。
美人店主だから、きっと評判うなぎのぼりだよ。
一緒に感動しよう。
一緒に傷つこう。
俺にはなぁんにもないけど、俺の未来ならぜんぶあげる。
一分一秒、髪のさきから爪のさきまでぜんぶぜんぶあんたのものだよ。
ねぇ泣かないで。
無理だなんてごねないでよ。
言ったじゃない。
忍のやることなんか何だってありなんだ。
いまこそすべての世界を信じるときなんだ。
本当だよ。
これからの世界はずっとずぅっとあんたに優しいの。
俺が保証するよ。
顔をあげてよ、俺を見てよ。
あんたは嘘を見やぶるのが得意だから、今のが嘘かどうか分かるでしょう。
ほら、本当のこと言ってるでしょう?
期待してていいんだよ。
絶対に絶対に、その未来をつくってあげる。
わ、なんでまた泣くの?
そんなに怖いの?
俺なんかじゃ嫌なの?
バカってなにさ。
ひどいよ、俺はずっと真面目なのに!
…え?
嬉し涙?
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