ふたり



今期の『黄龍の器』はふたつ。

ひとつは前期の『黄龍の器』と『菩薩眼』から生まれた。
女の身で鮮烈なる陽の氣を操り黄龍を迎える、『陽の器』

ひとつは『狂星の者』によって人為的につくられた。
男の身で禍々しい陰の氣を操り黄龍を迎える、『陰の器』

生まれも育ちも違うけれど、二人が『器』として生きてきたのには間違いなく。
『器』が二つできたばかりに、二人の道は別たれた。
助け合うことも、気づくことすら出来なかった。





「……最初から一つになっていればよかったのにな」





自分の半身でもある男を見上げて彼女はそう呟くけれど、金色に輝く龍があげた咆哮でそれは誰にも聞こえない。















聞きたくなかったのかもしれない。