はじまりはじまり。


今日も今日とて、天香學園の生徒会長であらせられる阿門帝等が茜色の夕陽を見て黄昏ていると、べしっと音を立てて何かが背中に投げつけられた。少し痛い。

「……?」

學園一の魔人、血管と黒コートで教師さえ黙らせてしまうこの阿門帝等に手を出すとは良い度胸をしているではないか。
一体誰の仕業かと視線を落とすと、それは真っ白いシルクの手袋。
本当、誰だ、こんな日常生活において非常に使いようがない代物を持ってる奴は。

「……葉佩九耀。お前か」
「阿門帝等。貴様に決闘を申し込む」

実を言うと、この転校生が阿門のことをフルネームで呼ぶのは初めてのことだったりする。
いつもは面倒がって「会長」としか言わない。あまり気に入った呼び名でないので名前で呼ばれたことは嬉しかったが、後半の言葉が物騒である。

「ふん、お前にしてはまた似合わん真似をしたものだな」
「ふっ……それだけ俺も必死だということさ。この決闘、受けないとは言わさないぜ」
「いいだろう。身の程と言うものを教えてやる」
「余裕だな。その言葉、そっくり返してやろうじゃないか。


俺の全てを懸けてでも、皆守はお前に渡さない!!」


「ちょっと待て貴様」

悲しいことに、葉佩は本気らしかった。















……という始まりで小連載をしたことがある。