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「……おい、何なんだよ、アレは!」
男に腕を強く掴まれ、引きずられないように政宗も走る。
後ろを振り返れば、見たこともない物体が二人を追いかけているのが目に入った。
何故か帽子を被っているそれは、黒くてグニャグニャとして狭い裏路地を埋め尽くし、ひしめきあいながら二人を追ってくる。
それが何なのか政宗には全く分からないが、危険な存在だということは痛いほどに分かった。
角を曲がり、塀を越え、必死でそれらをやり過ごす。
しかし、それらは分厚くできているはずの壁をすり抜けて政宗達の前を塞いでしまった。退路はない。
「追い詰められ……!」
追い詰められる寸前、ぐ、と男に引き寄せられた。
政宗が文句をいう暇もない。バネのように男の足が曲がり、引き伸ばされる。










そして、跳ねた。




















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