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「何で女!?」

鏡を前にして政宗はとりあえず叫んだ。
その声は自分が記憶しているよりずっと高く、細い。
胸に手を伸ばしてとりあえず揉んでみた。

柔らかかった。
そして間違うことなく本物だった。




















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「政宗様、政宗様!」
いつもならとっくに作業場で仕事をしている時間というのに、今日は顔も見せていない。
これはおかしい、と小十郎は首をひねった。
「おい、政宗様はどうした」
「今日は、まだ部屋から出てないみたいですよ」
風邪でも引いたのだろうか?階段を上り、政宗の部屋の扉を叩くが反応はない。
人の気配もない。
扉には鍵がかかっていなかった。
湧き上がる不安に精神を尖らせながら、小十郎はゆっくりと扉を開く。
部屋には誰もいなかった。小さな机の上に一枚書置きがあるだけだ。


『旅に出ます。探さないでください』


小十郎は十回繰り返して読んでじっくり内容を把握すると、卒倒した。





















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