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暖炉の前でカブ頭の案山子のために新しいネクタイを繕っていたら、店の外で幸村と遊んでいたいつきが慌てた顔で飛び込んできた。
「政宗、やくざが来た!」
「出入りか!?」
返り討ちにしてくれるわ!
きらりと裁縫用の針を物騒に光らせ、政宗は顔を輝かせながら椅子を蹴っ飛ばし店の扉を蹴っ飛ばす。
表にいたのは、なるほど、いかにもカタギをやめてン十年経ってそうな黒服強面の男である。背も高い。頬を走る刀傷なんて特に……って、あれ、あの顔どっかで見たことあるんですけど。
ばちり、と男と目が合って政宗は茫然と呟いた。

「こじゅうろ……?」
「政宗様……!」

まじまじと見つめあい、ぐ、と小十郎の顔が感動に歪む。
そのまま両手を拡げて政宗に飛びつくかと思いきや、スライディングから鮮やかに土下座を決めて見せた。
「申し訳ありません!申し訳ありません政宗様!」
「ちょっ、やめろよ小十郎恥ずかしい………」
「お探しできなくて申し訳ありませんでしたァァッ!!」
土下座してまで謝られる理由を政宗は持っていない。むしろ、無断で店を出た自分の方が頭を下げる側だと思っていたのに。
勘弁してくれ止めてくれと願いながら後ろを振り返ると、思った通りいつきが困惑顔で思い切り距離を退いている。怖いのは政宗もよく分かる。


どれだけ言っても小十郎が顔を上げないので、殴ってやめさせた。
政宗様らしいと、なぜか小十郎は笑ってくれた。





















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